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60cm目安

毎年この時期から、全国規模の公募展の募集がいくつか始まります。
締め切りが迫っているのは日本伝統工芸展。
目下、これに出品する為の制作をしている毎日です。

個展やグループ展などの展示会場には、サイズの大きな作品を何点か展示します。
目を引く様な大きな作品があると場が盛り上がるんですね。
ただ、失敗のリスクや制作にかかる時間の関係で、
展示会の準備期間には大きな作品は作りません。
ですので、大きな作品はこの時期にいくつか作っておくようにしています。

近年、公募展では比較的小さめの作品が好まれる様な事をチラホラ聞きます。
が、実際はデカイ作品がほとんど。
全国規模の公募展になると展示会場も広く、
見栄えの関係もあり、デカイんです。作品が。
もちろん小さめの作品もありますが、大きさの迫力抜きで存在感を出すのって
本当に難しいんですね。

学生時代、教授に言われたひとこと。
「目一杯でかいサイズで作り続けて、同じ土の量で1サイズ小さい作品を作りんさい。
 そうすれば思い描いたカタチが作れるようになる。」と。
最近、とある学識者に言われたひとこと。
「限界までサイズを大きく作る事をしなさい。そうすれば自分を知る事ができます。」と。
違うタイミングで言われたこの言葉。
未熟ながらも経験からその必要性を実感してきています。

・・・がしかし・・・窯が無ぇんです。
径60cm、高さも60cmまでしか焼けねぇんです。うちの窯は。
そこで基準にしているのがこの60cmというサイズ。
60cmを目安に作ると、焼き上がりで50cm強。
このサイズの中でどれだけ迫力があり存在感が出せるのか、が
1つの挑戦になっています。

今回は直径60cmの鉢。
ですが今までと違うのが口の厚みです。
想定しているカタチを作る為には、最低でも口の厚みは3cm。
ロクロにてカタチを広げて行く際にはどうしても口は薄くなっていきます。
それをどう残して径を60cmにするか。が課題です。

大鉢(拡大写真はこちら)

あまり慣れていないこの見え方に・・・あれ?ってかんじでしたが
なんとか完成まで頑張ります。

乾くかな?

紫陽花

千葉県松戸市にある本土寺。
毎年この時期には紫陽花寺として観光客が多く訪れるお寺として有名です。

先日、久しぶりに行ってきました。圧巻です。

本土寺(拡大写真はこちら)

少し時期が遅かったのか、よく日の当たる場所の紫陽花はすでにくたびれていました。
でもなんせ広大な敷地に敷き詰められた1万株もの紫陽花。
中には元気で綺麗な花もありました。

紫陽花(拡大写真はこちら)

紫陽花3(拡大写真はこちら)

実はこの本土寺というお寺。
明石家の代々のご先祖が眠る場所なので、歩いて5分程のところに父の実家、祖父母の家があるので
小さい頃から慣れ親しんだお寺なのです。が、
祖父母の家に行く時は大抵正月かお盆。
その時期には紫陽花は咲いていません。
色あせ、疲れた紫陽花が出迎えていました。

「6月ぐらいはすごいんだよ〜」と聞かされていたものの、
実際に見たのは5年程前が初めて。
こんなに身近にあるのになぜ今まで来なかったんだろう、と
悔しく思う反面、先祖のお墓参りに来る楽しみが増えたとうれしくも思いました。

春には100本の桜。5000株の菖蒲。秋には1000本の紅葉。ここに眠るご先祖もさぞ幸せでしょう。
ご先祖様。一人前になりきれない明石の子孫が頻繁に会いに行きますよ。

 

リングスタンド

アトリエのある横浜市青葉区。
東急田園都市線の青葉台駅から歩いて3分ほどのところに
gallery a というイカしたギャラリーがあります。

陶磁器から絵画、ジュエリーなど毎回こだわった展示を見せてくれます。

現在開催中は「えんどうもみ アクセサリー展 “草の香N°10”
」展。(6/22〜7/3)
様々な工夫が凝らされたアクセサリーは
繊細な作品も大胆な作品も、作家のもみさんのこだわりが光る展示になっています。

会場に見覚えのある作風のモノがチラホラと。

リングスタンド(拡大写真はこちらをクリック!)

リングスタンド(拡大してみてください。クリック!)

リングスタンド(拡大したほうがよく見えます。クリック!)

指輪を展示するためのリングスタンドを制作させていただきました。

普段の技法や表現を応用したものを全10種。
「こんな事もやってみよう」と、遊び心を込めつつ
主役の指輪を邪魔しない事を心がけて制作しました。

お気にいりの指輪をディスプレイする。
台所仕事の際、ちょこっと外して置いておく。
洗面所の鏡の横に、なくさないようにサクッと。
ベッドのヘッドレストに「今日も一日ありがとう」と指輪もおやすみ。
などなど・・・・
思い出と思い入れの詰まった大事なリングを
指から外しても美しく飾ってあげましょう。

アクセサリーを盛る器として、今後も色々なバージョンを展開していきます。

アトリエサウナ。

本格的に梅雨に入り、気温が高くジメジメしてきました。
毎日が暑いです。
眠りを妨げる耳障りな蚊も出現してきました。

窯場がアトリエ内にある我が工房では毎年、
この時期から涼しくなる季節までの数ヶ月の間は
窯を焚くとアトリエ内がとんでもない事になります。
恐ろしすぎて室内には温度計を設置していないので正確にはわかりませんが、
おそらく60℃〜80℃にはなっているでしょう。
なんせ近所のサウナと、さほど変わらない気がするほどの温度になりますから。

置いておいた飲み物はすぐに干涸びるし、
直前に制作した作品は、急激に乾きすぎて割れる事もしばしば。
お香や煙草の煙は、胸の辺りより上には行きません。
目線より下で停滞するのです。
吐いた息は、鼻の周りにまとわりつく感覚だし、
吸った息は、肺のあたりを温かくします。
当然、普段あまり汗をかかない体質の体は、大量の汗でびっしょり。
何気なく触るドアノブなどの金属部分。ハッキリ言ってビックリします。

しかし、悪い事ばかりではありません。
この熱を利用しない手はないと、
大量の洗濯をしてアトリエ内にぶら下げると、あっという間に乾きます。
夏なので外は日差しが強く暑いのですが、アトリエから外へ移動すると
ものすごく涼しいんです。30℃ほどの気温でも涼しいんです。
エアコンのないアトリエでは、工場用の大きな扇風機でまかなっているんですが、
普段は暑い空気を混ぜてるだけのこの機械も、
窯を焚いている時は外から内に向けて運転させると、涼しい風に感じるんです。

劣悪な環境になればなるほど、普段の生活の有り難みが感じられるってもんです。

それでもやはり、色見を出すために窯に接近すると
とんでもない熱さにやられます。

色見(拡大写真はこちら)

あの壁の向こう側は1300℃の世界。
熱いのは当たり前か。

夏の陶ISM

今年3月に行なわれた「陶ISM」。
早くもその第2弾が夏の吉祥寺にて開催されます。

今回は3つのギャラリーで展開される総勢約40名の若手作家によるテーマ別展示です。
食器・煎茶器・オブジェ・酒器をテーマに
それぞれに割り振られた作家の作品が並びます。
ちなみにわたくしは煎茶器を制作する事に決まりました。
湯呑み、急須、旅急須などの新作を発表する予定です。

詳細はまた後日。

2010年8月18日〜24日(予定)

 

 

© 2009 Takuma Akashi.