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鋳込み

こういった仕事を想定していたのかどうか・・?
工房設備を整える時、どういうわけか石膏用のロクロや泥漿(でいしょう)撹拌器を準備しました。
泥漿鋳込みという方法を使って作品を創るために。

大学在学中、3年次に研究室を選択する前には
デザイン科との共通課題や、木工・金工・シルクスクリーンなどの実習、
陶磁に関する色々な制作法も課題として行ないます。
その中に、この泥漿鋳込みによる量産を前提とした課題があります。
その後、伝統・現代陶芸・プロダクトデザインの中からコースを選択し
各コースの専門技術を学んでいきます。
ロクロ成形による制作を主に課題として行なう伝統コース。
泥漿鋳込みによる量産技術、デザインを学ぶプロダクトデザインコース。
イマイチよくわからん現代陶芸コース。(現在は消滅してしまったらしい・・)
ワタクシが選んだのは伝統コース。つまり・・・
コース選択以前に課題でやった1回だけなんです。鋳込みをやったのは。

今思えば、どういう思考回路で決して安くはない設備を揃えたのか。謎です。
働いていたデザイン事務所での仕事が、デザインや石膏を使ったサンプル制作が多かったせいなのか。
何かとてつもない可能性を信じて疑わなかったせいなのか。
「独立」ってフレーズに、どんなことでもできるようになるんだぁ!的な
希望に満ちあふれていたせいなのか・・・。
しかし幸い、学生時代から自分の研究室にいる時間より
他コースの部屋に入り浸る時間が多かったせいか、
技術的な知識だけはあったんです。それなりに。
おかげで工房設立後は、泥漿鋳込みによる製法でいくつも仕事を行なえています。

今回のお仕事も、木工作家さんからの注文で
外寸をしっかり揃えたい。とのことだったので、鋳込みは最適です。
写真は泥漿を流し込まれた石膏型。

鋳込み(拡大写真はこちら)

だいぶ慣れてはきたものの、鋳込みによる仕事は年間4〜5件ほどなので
まだまだ予想通りにいかないことが多いです。
歪みの大きさや方向、縮み方はロクロ制作とは全く違います。
切り替えて頭を整理しながら進めないと、思わぬところでつまずくのです。

ま、せっかく揃えた設備です。充分に利用して制作の幅を増やしていなねば。

柏のつながり

我が母校、愛知県立芸術大学。
平成元年に設立された陶磁専攻の敷地内には柏の木が植えてあります。
コの字型の建物に囲まれた中庭の中央に「でん!」と構えて生えてます。

どのような意図があって「柏」なのか・・正直わかりません。
が、この柏の木に集いし多くの同窓生が
この学校で学び、成長して巣立っていったのです。
その証拠に、「柏◯会」という柏の字が入った展覧会が
愛知芸大の卒業生を中心に全国各地で開催されています。

思い出せる範囲で・・・
・柏栄会(学生の間に初めて展示できる会。デビュー戦ですね。)
・柏交会(学生当時、卒業した先輩たちの活躍を拝見できる場でした。)
・柏窯会(柏交会の日本橋三越に会場を移した展覧会。)
・柏萌会(名古屋三越での展覧会だったような・・・?)
・柏松会(松坂屋本店での展覧会。柏栄会終了後の会です。)
・柏珠会(名古屋の丸栄で開催される、女性作家のみの展覧会。)
・柏芽会(なんか若い連中。)
・柏陶会(卒業後、関東で活動している連中。)
・柏窯選抜(なんか嫌なネーミングだな)
・柏友会(研究室のOB会みたいなもの)
・・・こんなもんだったかな?

え〜・・正直よく把握してませんが、たぶんこのぐらいでしょう。
こんなことブログで並べてもしょうがないんですが、
とにかくこれだけの展覧会やグループを作って用意してくれたのが
教授であり、柏の木だったわけです。

30歳を越え、今でこそようやく感謝の気持ちを持って参加していますが、
まだトガっていたかった若かりし頃は、
この団体に批判的な視線を送っていたこともありました。
枯れ始めた学校の柏の木に、ニヤリとしたことも・・ちゃっかり自分も参加しているのに・・
ひと目でわかるような作風や技法に「みんないっしょ!仲良しです!」的な印象を持たれることもしばしば。
ただ、愛知芸大も他の芸大もそうですが、
その学校出身の特色が出るのは非常によいことなのではないでしょうか?
ひとつの産地として考えれば、何も特別なことはないのです。
広くない地域(学校や産地)の中で、一見似たような作風が多いのはどこも一緒ですよ。
その地域の特色なんですから。。。きっと。

創立して22年。善くも悪くもようやく愛知芸大としての特色を周りが認識してきたってことで
柏の木のつながりも、これからどんどんってとこでしょうか。

・・ということで、ここで宣伝を1つ。
8月19日〜25日 丸栄スカイルにて柏珠会が開催されます。
同窓の女性のみの展覧会です。
女性のみといっても、さほどいい香りはしませんが、
お近くにお寄りの際は是非足をお運びください。
女性らしい感性で制作された秀作が並ぶはずです。

2010柏珠会

(メンバーの一人、黒部駒子のブログにて詳細あり。写真をクリック)

工芸むら田 2010

暑い。とにかく暑い。
我が家は大きく分けると、ワンルーム住居・アトリエ・展示室の3部屋。
昼間太陽が入るのが住居スペースのみ。
だから14:00ぐらいまではアトリエと展示室は外よりいくらか涼しいんですが
西日が差し込む時間帯から、明らかに外より暑くなります。
この2部屋は風も通らず蒸し風呂状態。もちろんエアコンなんて贅沢なものはありません。

展示室は天井が低いので、ライトを付けると更に暑い。
日が入らないので暗いくせに・・。
アトリエには工場用の巨大な扇風機がありますが、
こちらは無駄に天井が高いため、扇風機で空気を循環させると
上に溜まった熱気が程よく混ざってしまい、これまた暑い。
この季節、唯一エアコンのある住居スペースに居座ってしまい
仕事場から遠ざかってしまうのは・・・しょうがない・・・気がします。

そんな中、9月3日からスタートする工芸むら田での展示会のDM。
それの写真撮影を決行しました。暑いけど。

撮影2010柏陶会(拡大写真はこちら)

昨年までは、各々が発表したい作品群の中に
設定したテーマに沿った作品を何点か出品する、といった展示でした。
めし碗・湯呑み・お膳に乗せる器・花器・・・etc

しかし今年は、オーナーの村田さんの提案もあり
2週間の会期のうち、前半1週間は「酒宴ーサケノウタゲ」、
後半1週間は「宝飾ーカザルモノ」と、テーマに沿った作品のみの展示をすることになりました。
会期も6月から9月に変更し、多少マンネリ化し始めてしまったグループ展に喝を入れるべく
気合いを入れて制作です。

後半の「宝飾ーカザルモノ」は、用途を限定しないものという意味も込められているので、
食器を主に制作していた我々にとっては、なかなか難しく発想の柔軟さを求められるテーマです。
でも用途に縛られず、自由な発想から楽しく制作できるテーマでもあります。

実は今回の展示のテーマ。前後半を通じて共通しているのが「宝物ータカラモノ」です。
普段使いの器とはひと味違った、自分にとっての特別な時間やシチュエーションで
使おうか飾って眺めようか考えたくなるような、そんな作品を展示したいと思ってます。

上の写真で撮影した今年のDM。
撮影は暑い中、孤独な作業でしたが
一緒に展示する仲間のS枝先輩とKoma子さんと、便利なツール「スカイプ」にて・・
少しでも「宝物」感が伝わればいいなと打ち合わせながら気合い充分で作りました。
できあがり次第アップしたいと思います。
DMが欲しい方はContactよりご請求ください。送らせていただきます。

 

北風と太陽

ご存知の通り、イソップ物語の1つで
物事に対して厳罰で臨む態度と、寛容的に対応する態度の対比を表す言葉としても用いられる。
ってWikipediaには書いてあります。が
日本では「アメとムチ」の方が使ってる気がします。

暑い太陽に照らされて、涼しい北風を欲して思い出した「北風と太陽」でしたが、
よく考えてみるとこの話、納得のいかない事があるんです。
まず北風さん、この条件って完全に不利ですよね。
「コートを着せた方が勝ち」ってことにすれば、まだ可能性はあったかも。
そして太陽さん、あきらかに有利な条件を簡単に飲むなんて、やさしくないでしょ?
最後の一節から。「〈私の勝ちだね〉と、太陽は言いました。〈ね、わかっただろう。人は力よりやさしさに心を動かされるものなんだよ〉」って・・・
サンサンと照りつけてコートを脱がしたくせに。ある意味力づくでしょ。
しかも心なんて動かされてないはず。単に暑かっただけです。

イソップ物語にはすべて教訓が含まれているらしく、
この「北風と太陽」では「力よりやさしさ、説得が勝利する」ということが教訓ってことになってますが、
冷静に考えると、「何事にも適切な手段があるので考えなさい」って方がシックリきます。
そもそも天照大神と称される太陽相手に北風ごときが挑むなんて・・勇気を認めてあげたい。
それも踏まえた教訓としては、
「たとえ勝てないとわかっている相手でも、勝負する事が大切」かな。

 

この教訓を今の自分に置き換えて言い聞かせると、
「たとえ間に合わないとわかっていても、あがく事が大切」ってなります。

天日干し(拡大写真はこちら)

先日の花瓶。
窯を焚いたサウナの様なアトリエでの乾燥もイマイチ。
そこで最後の頼み、ザ・天日干し!!

天照大神(あまてらすおおみかみ)さま! お願いします。

人の印象。

ワタクシは幼少の頃から眉毛が薄いと言われてきました。
大人になるにつれ体の要所要所に毛が生えてきますが、
どの場所にもあまり多くは生えませんでした。

しかし、歳をとるにつれ男性ホルモンが増加したのか、
徐々に増えてきたようです。
現に、久しぶりに会った友人には「眉毛濃くなってよかったな。」なんて
言われる事が多くなってきました。
そんなに心配されるほど薄かったのかなと、昔の自分を思い出してみるものの、
朝起きて突然増えたわけではないのでさほど自覚もありません。
多少は・・って感じです。

要するに印象なんだと思います。
「こいつ眉毛薄いな。」って印象を持たれると
少し増えただけでも「濃くなった!」って思われるんでしょう。
時間を置けばなおさらです。


先日、暑い中必死で大きな作品を制作している姿を
「頑張ってるなぁ」と思われたくてブログに更新しようと思い、
汗だくで腕をまくって、写真を撮ってもらいました。
するとどうでしょう、、撮影者が突然大笑いするじゃありませんか。
お腹を抱えて涙を流しながら、しばらく止まらないほどの笑いを。
何かとんでもない失敗でもしたのかと不安になると、
大笑いの中必死に絞り出すかのように何かを訴えてます。

「・・・ワキ毛が・・・わき毛が・・・」

wakige(お見苦しいので拡大はお勧めしませんが、見たければこちらから。)

そりゃ生えるだろ!必要なんだから!
男だから処理もしませんし!
そんなに笑うほどモッサモサでもないはず。

色白で細身な身体なので、普段タンクトップなどの肩の出るトップスは着ません。
腕を大きく上げる様な動作も、そんなにする印象はなかったのでしょう。
つまり撮影者は、自分が持つワタクシの印象と随分違ったワキ毛にハマってしまったんでしょう。
まったく・・こちらはそんなこと気にしている余裕がないほど必死なのに。

しかしこの後、その笑いに和んだおかげで失敗する事なく完了しました。
それにしてもそんなに意外か??

© 2009 Takuma Akashi.