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大阪へ

1977年 大阪生まれ
大抵の略歴の1行目に記載しているこの一文。
そう、生まれは大阪なんです。

親父の転勤で小さい頃は大阪と東京を行ったり来たりし、
高校は山梨、大学は愛知、今は横浜と済む場所があちこちと移っている中で、
山梨には親戚が、愛知には友人と仕事があるため近年もぼちぼち行っておりますが
大阪だけにはなかなか行けませんでした。
今回友人の結婚式に出席するため、13歳の時以来の大阪です。

事前に記憶を辿り、Googleマップにて大阪の地を調べたのですが
なんせ20年前。様変わりした当時の家を探り当てるのにも一苦労で
まして今回行くのは大阪の中心街。正直記憶には残っておりません。
が、何となく吹田だの豊中だのと聞くと脳のどこかがチクリと反応してしまいます。
「あそこに行ってみよう」だとか
「あいつに連絡してみよう」だとか
結婚式に出席する久しい友人に会える事など
制作が〆切に追い込まれた状態で、来る日の大阪の地での出来事を楽しみに
寝れない日々を耐えました。

今回引き出物として作らせていただいた作品はこれ。

magcup_hikidemono(拡大写真はこちら)

とこちら。

cup_hikidemono(拡大写真はこちら)

マグカップ2客のセットと、カップ&ソーサーです。
普段の展示でもせいぜい5〜6客しか作らないカップ類。
今回は予備分含めて120弱の取っ手付け。
先日のブログの寝れない理由はここにあったのです。

カップの取っ手付けには今まで相当泣かされてきました。
というのもこの作業、ものすごく失敗が多いのです。
取っ手とボディの縮みの違いからはずれてしまったり、
乾燥途中の土の動きでポッキリいってしまったり
焼成後にひび割れていたりピンホールが発生したり・・・
とにかくリスクが非常に高いので、限られた制作時間の中で
何となく量を作るのを避けてきたアイテムなんです。

そういった失敗の原因のほとんどは「乾燥時の取っ手の土の動きにあり!」
と今回、乾燥時に動きの少ない鋳込みでの取っ手づくりを決めました。
以前から取っ手は鋳込み、との構想はあったのですが、
なんせ前述したように展示会でも数点しか出品しないので
型を作る手間と、同じカタチしかできないという型制作のある意味での弱点、
これが制作に踏み切れなかった理由でしょう。
しかし今回は数がある。

取っ手(拡大写真はこちら)

調子良くポコポコ出来上がる取っ手に気を良くして
タッパーの中に山積みになった取っ手を並べてみると・・・
今まで見た事も無い、無数の取っ手が並ぶ姿にビックリ!
こっ、これ・・・今から取り付けんのかよ・・・
単純計算で一つ付けるのに慣れて約5分。
120個付けるのに10時間。集中が続く訳無く12時間。
窯焚いて、箱書きして梱包。まだ間に合う。
ん?寝る時間は?
といった感じで寝れませんでした。

大阪までの運転、途中死ぬかと思うぐらいの眠気に負けて
休憩入れまくりの13時間。
こうして20年ぶりの大阪の地は、作品の納品と結婚式のみで
懐かしがる余裕無く終了。
余裕を持って仕事をするという今年の目標は早くも・・・
いや、今回の仕事は昨年のしわ寄せ!次からが2010年の仕事です。

© 2009 Takuma Akashi.